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人生の引き際

訪問先ちかくで、事件があった。

高齢者男性が、高齢者女性を刃物で切りつけたらしく、その近辺には黄色いテープが張り巡らされ、警察官がいた。


一体二人の間に何があったか、詳細は不明だが、男性は逮捕されたようで、ネットニュースではその写真が出ていた。


よっぽどの怒りをかかえていたのか、突発的にカッとなったのか、とにかく後先のことを考えず犯行に至る事件が多いような気がする。


歳を重ねると、丸くなる人もいれば、性格が尖鋭化する人もいる。

どうせ老い先長くないから、好き勝手に行動してしまいたい衝動も、わからなくはない。


人に迷惑をかけるな、とよく言われるが、我を忘れると倫理観など分からなくなるし、どうでもよくなってしまうのだろう。


性格を急に変えるのは難しい。高齢になれば、尚更のこと。


人生を終えるにあたって、最期まで良い生き方をすれば、来世も報われる保証など、ない。

いま現在がすべてなのだ。


人生においては、引き際が大事ではあるが、その引き際までに、まわりに助けてくれる人はいなかったのか。


無縁社会とはよく言われるが、これからは、より一層、地域社会での関わりも大事になってくるだろう。


カッとならないよう、泰然自若とした生き方は理想だが、それができない人もいる。


地域において、医療や訪問介護の果たす役割は大きい。


本人の人生に引き際があるなら、周囲による押し際もあるだろう。


人生の道を踏み外さないよう、本人の尊厳を傷つけず、そっと元の道に、背中を押せるサポートが求められるのかもしれない。


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